Interview with : Taichi Kimura

Interview with : Taichi Kimura

ファーストラインナップとして3つのマスターピースをフィーチャーしますが、その中に知っている作品はありますか。

木村 : GHOST IN THE SHELL(GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊)は見ました。好きです。

もしご存知の場合、作品にまつわるご自身のストーリーをお教えいただけますか?

木村 : GHOST IN THE SHELLは、小学生の時に見て、こんなんがマトリックスの影響元なの?みたいな。初めて見た時はまだ難しくてよくわかりませんでした。とにかくあのタイトル曲が子どもの頃トラウマ的に怖かったです。 でも3年前くらい?ロストユース・自主映画の制作中にたまたま見て、結構内容ディープだなと思いました。ブレードランナーみたいな雰囲気とかもかっこいいなと考えを改めました。今では、自分の映画の世界観にかなり影響されてます。大人のアニメですね。

A film by Taichi Kimura
Production: Cekai & Caviar
Producer: Taro Mikami, Takumi Kidoko & Ore Okonedo
DOP: Rina Yang.

その作品があなたにどのような影響を与えましたか?

木村 : サウンドトラックの影響が大きいっすかね、やっぱり。あのよくわかんない女の人の歌ってるイントロの曲は本当に素晴らしいと思います。なんかダークで狂気的なんですけど、実はとても日本の文化的な要素が強いっていう。カルチャー系の音楽ってこういう使い方があるんだと勉強になりました。

あなたにとってのマスターピースはどの作品ですか?

木村 : マスターピースってそんなもんないですけど、好きな作品はアニメ系だったら、紅の豚・もののけ姫・東京ゴッドファーザーですかね。映画だったらpunch drunk love・ラスベガスをやっつけろ・piあたりが好きです。まあ他にもいっぱいありますけど。

“マスターピース”の定義をどう考えますか?

木村 : そんなの知らないし、どーだっていいですね。すげーいい作品って意味じゃないんですかね。

若年層のコンテンツの消費の仕方についてどう思いますか?

木村 : まあクソっすねー。映像に関してはコーラ缶みたいに使い捨てな感じになってる気がします。早くていっぱい作るみたいな時代になってきてる。同時にクオリティーも下がってると思いますし。しょぼいクリエーター多すぎるんで、みんな消えちまえばいいのにと思ってます。

インスタとかSNSに関しては、自慰行為と一緒っすよね。他人や友達からLIKE・FOLLOWをしてもらいたいって感覚・感情は快楽を感じるための自慰行為とあまり変わらない。自己満とか領域でしかない。別にその人が食ってる飯とか、どこで何してるとかマジ興味ないっすね。できればそういう事はSNSごときの場所で自分から発信して欲しくない。一般人が有名人気取りになれるだけでしょ。有名人になりたかったら努力してなればいいんですよ。そうしたら嫌でも誰かが発信してくれますよ。

もちろん、いい所もいっぱいありますけど。金がなくても自分の作品を発信できるとか。だから作品を作る人とかはできれば、そういう所に重視してSNSをやってほしい。

この頃思うんですけど、なにかやってるかすぐわかる人よりミステリアスな人の方が魅力的だなと思うんすよ。あの人どんな人だろう?とか何やってんだろう普段?どんな事考えてるんだろう?とかそっちの方が会いたくなりますよね。作品も自分が気に入った作品を作った時だけネットの力を使って盛大に宣伝する。そっちの方がバズられると思いません?ナイキの限定の靴みたいに年2回くらいとかの方が、みんな欲しがるじゃないですか。むやみにコンテンツを発信してネットの使いかたを間違ってる人が多い気がします。

Taichi Kimura
映像ディレクター:1987年東京生まれ。映画監督を目指し、12歳で単身渡英し映像制作を学ぶ。卒業後、音楽業界でライブ映像作家としてキャリアをスタートしThe Chemical Brothers、Knife Partyや Sub FocusなどのトップDJのツアードキュメンタリーやライブ映像を手掛ける。現在はCHASE& STATUSの「International」やSECONDCITYの「What Can I Do」など多くの人気海外アーティストのMVを監督する。代表作「LOST YOUTH」はBOILER ROOM史上初の映画上映を行った。BOILER ROOM上映後、パリにあるデイビッド・リンチのプレイベートクラブ「SILENCIO」にて特別上映、数々の海外映画祭で受賞など高い評価を受けた。